お米のおいしさってどうやって判断するの?

外観品質と食味品質

米粒の見た目がいいかどうかで判断する「外観品質」と、実際に食べてみたり機械で味を判定する

「食味品質」の2つがあります。

食味品質

炊飯したお米の食味を判定員が実際に食べて判定したり、機械で判定します。a0002_004870

実際に食べて判定することを官能試験や官能審査といいます。

食味コンクールなどでは、1次審査が食味計という機器による食味値の算出。2次審査が味度計という機器による味度の算出。3次審査で判定員による官能審査ということが多いようです。

参考 2015年、第17回 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会

http://www.syokumikanteisi.gr.jp/kon-17/pdf/p-black_Part2.pdf

食味の客観評価(測定機器による数値判定)

先に挙げた食味コンクールの1次審査では、

1.穀粒判別器という機械によって玄米の整粒度を測定。

2.食味計という機械によって食味値を算出。これは玄米の4つの成分

(水分、タンパク質、アミロース、脂肪酸)を分析することによって算出します。

アミロース含量

上記2.からも分かりますが、お米の食味にはアミロース含量が大きく影響します。

アミロースとはデンプンの種類の一つです。デンプンは、アミロースとアミロペクチンの2種類のみによって構成されています。したがって、アミロース含量とアミロペクチン含量の割合という考え方もされます。

アミロペクチンは、もち米に多く含まれます。したがって、アミロースが少なすぎ、アミロペクチンが多すぎるとモチモチし過ぎた食感となり、通常食卓に上がるご飯(うるち米)としては適さなくなります。

タンパク質含量

タンパク質含量も食味に影響します。タンパク質含量が多いと、プロテインボディと呼ばれる、それ自体は水に溶けない物質が多くなります。それは米粒の外側の糊粉層細胞を含む胚乳細胞に多く分布し、結果として水の吸収を妨げる層のようなものを米粒に形成するので、炊き上がり時の水分吸収量、柔らかさに影響することになります。

食味官能試験の評価項目

何と言っても、白くてつやがあり、ほのかな香りがあり、噛めば軟らかく、適度の粘りがあり、かすかな甘みと、うま味を有しているお米が、おいしいお米の条件ではないでしょうか。

食味の評価項目として、以下の6点が挙げられています。

・外観 ・香り ・味 ・硬さ ・粘り ・総合

参考 日本穀物検定協会 食味官能試験

http://www.kokken.or.jp/test01.html

判定員の試食による主観的判定ですが、味覚は同じ人間として共通の部分が多く、経験を積まれた判定員の方であれば、微妙な味わいを理解できるのではないでしょうか。

米の食味に影響する要因

品種

品種によって食味は異なると言われています。『コシヒカリ』とか『ササニシキ』とかいう名前が品種ごとに付いています。食味に影響する最大の要因とされています。

気象条件

登熟期の気温や日射量などが影響してきます。気温が高すぎると白濁化したりして品質が落ちると言われています。近年の気候温暖化の影響を受けています。

土壌

イネが栽培されている土壌の成分や土質が関係します。地力窒素発現量が重要と言われます。植物に必須な微量元素が不足しているとイネの生長に良くありません。

栽培条件

作期、施肥や水管理が影響します。施肥において窒素分の多寡は重要と言われます。他に別の成分を施肥して特徴あるコメ作りをしている農家もあります。

収穫・乾燥・調整

収穫時期や収穫方法も影響してきます。特に収穫時期によって食味は変わってきます。

乾燥条件ですが、米は収穫後に乾燥させるのですが、昔はハザ干しといって自然乾燥をさせていたのが、近年は乾燥機で乾燥させるようになっています。乾燥時の温度や速度によって食味に違いが出ると言われます。

篩目等も関係するようです。篩目(ふるいめ)とは、収穫後の籾の状態の米を篩(ふるい)にかけて脱穀精米するときに篩目(ふるいめ)の大きさにより、その篩目より小さい実りの良くない籾が排除されるものです。実りの良い籾から精米した方が食味は良いと言われます。

貯蔵

貯蔵形態、貯蔵温度・湿度、環境気体条件、期間等によっても食味は変化します。こだわりのお米は保冷庫で温度や湿度を調節した状態で玄米の状態で保存しておき、出荷に応じて保冷庫から出して精米します。

保存期間ですが、やはり長く保存すると食味は低下すると言われています。目安は1年です。各生産者や流通業者は1年以内にすべて販売するように動いています。

精米

精米方法、精米時の水分含量、ブレンドなども影響します。

炊飯

最後に調理炊飯時の条件によって、食味は変わってきます。吸水条件、炊飯方法、火力、蒸らし、炊飯後の保存条件等です。固めに炊き上げたい時は、米のとぎ方を緩くし、米表面のぬか分を比較的残すようにすると水分の吸収が抑えられ、固めになります。水分を多めに炊くと柔らかくなることも分かります。

炊き上がり直後と保存しておいたご飯では風味が違うのは、みなさんよくご存じではないでしょうか。人によっては、1日後がいいという方もいらっしゃいますね。

 

外観品質

コメの等級を決める指標

外観品質は客観化、数量化しやすく、「お米の等級」を決める指標になります。等級は品質の良い物から順に

1等、2等、3等に分けられ、その下に規格外というものもあります。

お米の等級によってお米の価格が決まってしまう面があるので、外観品質は生産農家の収入に厳しく影響します。

登熟環境の影響が大きいと言われています。最近は日本では気候の温暖化が進み、特に登熟期にイネが高温にさらされると悪影響が大きいと言われています。

外観品質と等級を上げるためには、次のような米粒が生産物に少なくなるようにする必要があります。

着色粒と被害粒

着色粒(直径1㎜以上の斑点を持つ班点粒を含む)

被害粒

胴割粒
茶米
班点粒
奇形粒
その他
未熟粒
白未熟粒 胚乳部に白濁のあるもの。
青未熟粒 果皮にクロロフィルが残り緑色を呈しているもの。
搗精すれば問題ない。
乳白粒
基白粒
整粒
背白粒
腹白粒
心白粒

上で述べた、着色粒、被害粒、ならびに死米、異種穀粒、異物の混入割合によって等級が決まってきます。以下に等級検査規格を挙げています。

等級検査規格

規格外―1等から3等までのそれぞれの品位に適合しない玄米であって、異種穀粒及び異物を50%以上混入していないもの。

1.玄米の水分の最高限度は、各等級とも、当分の間、本表の数値に1.0%を加算したものとする。

2.もち玄米には、その種類以外の玄米が1等のものにあっては1%、2等のものにあっては2%、3等のものにあっては3%を超えて混入していてはならない。

3.玄米には、異物として土砂(これに類するものとして農林水産省政策統括官が定めるものを含む。)が混入していてはならない。
農林水産省政策統括官が定めるもの、石、ガラス片、金属片及びプラスチック片

農林水産省ホームページ 玄米の検査規格 水稲うるち玄米及び水稲もち玄米の品位より引用

http://www.maff.go.jp/j/seisan/syoryu/kensa/kome/k_kikaku/

まとめ

外観品質と食味品質の両方が優れているお米が申し分ないと言えるでしょう。

これまで、農家が地元の農協にお米をほとんど売り渡していた時代は、どこの農家の米も農協で一緒になってしまって、まとめて、地元の○○産米となっていたので、まずは外観品質を指標にしていたことが多かったかもしれません。

近年、農家による米の直販が増えてくると、外観品質と合わせて、米の食味品質も各生産者においてセールスポイントとするため、検査するようになってきており、食味品質の指標としての重要性は増していると言えるでしょう。

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